
FIRE後の資産運用は、理論上の最適解だけでは決められない。
最近、BTCの誤売却対応と米国債の扱いを考える中で、改めてそう感じました。
今回は、BTC利益圧縮と米国債方針転換を通じて、無職FIRE生活における「期待値」と「精神安定」のバランスについて整理します。
BTC誤売却で発生した利益をどうするか
今年2月、BTCを誤発注で売却してしまいました。
売却したのは約0.3BTC。
売却単価は約1,000万円、元の取得単価は約800万円です。
その結果、取引による利益は70万円以上発生しました。
正直、これに掛かる税金自体は大したことはありません。
ただ、今の私は無職FIRE生活中です。
ここで問題になるのは、税金そのものだけではありません。
- 住民税非課税から外れる可能性
- 国民健康保険料が上がる可能性
- 国民年金免除から外れる可能性
このあたりが、かなり大きなストレスとなりました。
特に年金については現在全額免除なので、これが外れるだけでも、無職FIRE生活においてはかなり重く感じます。
税金より怖かったのは「制度状態の変化」
暗号通貨取引における取得単価は総平均法に従います。
最初は、BTCが大きく下がった時に売買することで、損を出して利益を圧縮する案を考えていました。
しかし、なかなか思うようには下がってきません。
そうしている間にも、BTCはどんどん上がっていきます。
逆に、BTCが大きく上がった場合は、誤売却した約330万円分を買い戻すことで、総平均法上の取得単価を引き上げる案もあります。
ただ、利益を完全に非課税領域まで圧縮しようとすると、BTCが1,500万円付近まで上がってから買い戻す必要があり、感覚的にはかなり高値づかみに見えます。
また、買い戻せる量もそれほど多くはなく、「かなり不利な場所で買い戻している」という感覚もありました。
さらに、年内にそこまで価格が上がるかも不透明です。
暗号資産の損益は年を跨いで相殺できないため、「そのうち考えればいい」という訳にもいきません。
色々と整理していく中で、「利益を完全にゼロにする必要はないのではないか」と考えるようになりました。
冷静に見れば、自分が本当に嫌だったのは、せっかく無職で維持している住民税非課税・国民年金免除・国保低負担といった制度状態が崩れることでした。
つまり、今回考えるべきだったのは「利益を完全にゼロにすること」ではなく、制度ラインを許容できる水準まで利益を圧縮することだったのです。
また、今回のミスを受け入れて買いなおさない選択をした場合、将来BTCが大きく上振れた時の後悔もかなり大きいだろうと思いました。
仮に1BTC=1億円になれば、誤売却した0.3BTCは3000万円になります。
そう考えると、「あの時なぜ買い戻さなかったのか」という感情を、自分はかなり引きずる気がしました。
BTCを約330万円分買い戻した理由
結果として、BTCが1,200万円台付近のタイミングで、約330万円分を買い戻しました。
これにより、総平均法ベースの利益は約50万円まで圧縮できました。
少なくとも、自分が意識していた年金免除ラインについては、現実的に狙える位置まで利益を圧縮できたと考えています。
これだけでも大分精神的に安定しました。
もちろん、「安値で買えた」という話ではありません。
自分の感覚としては、誤売却で崩れたPFおよび人生設計を、なるべく修復したという方が近いです。
実際、買い戻した今は、多少BTCの値段が上下しようが、「どうせ長期保有だし、掛かる税金も知れているし」という感覚に戻れています。
精神的にはかなり安定しました。
米国債を売ってオルカンへ移すべきか
同時に、米国債の扱いについてもかなり悩んでいました。
以前の記事でも少し触れましたが、米国債は完全に守りの資産です。
理論上は、米国債を全部売却してオルカンへ移した方が期待値は高いと思います。
実際、株式市場が強い局面では、米国債比率の高さにもどかしさを感じることもあります。
現在のPFにおいては、米国債が約1,200万円あります。
今後の長期リターンを考えると、米国債をオルカンへ寄せる選択肢はかなり魅力的です。
ただし、今の米国債価格はかなり低い状態です。
このタイミングで全売却すると、数百万円規模の損切りとなります。
さらに、その直後に株式市場が暴落した場合、精神的なダメージはかなり大きいと感じました。
理論100点より、20年続けられる90点
ここで改めて意識したのは、自分はもう資産をひたすら増やすための積立期ではないということです。
会社員として毎月給与を得て、その中から投資を続ける段階ではありません。
今は、収入ゼロでFIRE生活を続けている段階です。
この状態で大きく資産を動かし、その直後に暴落を食らうと、理論上は正しくても精神的にはかなり厳しい。
米国債は、満期に向けて額面へ収束する性質があります。
現在価格が低くても、急いで売らなければならない資産ではありません。
しかも生活防衛費として現金も厚めに持っています。
そう考えると、今すぐ米国債を全売却してオルカンへ移す必要性は低いと判断しました。
理論上の100点を狙うより、20年続けられる90点を選ぶ方が、今の自分には合っている気がします。
米国債は売らず、利金をオルカンへ回す
最終的に、米国債本体は売却しないことにしました。
その代わり、受け取る利金を今後すべて即座にオルカンへ回していきます。
つまり、守りの資産である米国債は維持しつつ、そこから生まれるキャッシュフローで少しずつ株式比率を高めていく形です。
これは将来の期待値としては最大化からは程遠いです。
しかし、精神的な負荷を抑えながら、徐々にオルカン比率を高める方法としてはかなり現実的だと感じています。
また今後、以下のような条件がそろえば、段階的な売却も検討します。
- 円高が進んだ時
- 米国債価格が回復した時
- 株式市場が大きく下落し、期待値が高まった時
条件が悪い時に無理に動くのではなく、良い条件がそろった時だけ動く。
米国債については、このくらいの距離感が今の自分には合っている気がします。
FIRE後は「正しさ」より「続けられること」が重要
今回のBTC買い戻しと米国債方針転換は、一見すると別々の話です。
ただ、根っこにある考え方はかなり似ています。
どちらも、理論上の最適解だけで決めたわけではありません。
BTCでは、税金そのものよりも制度状態と将来の機会損失に対するメンタルを重視しました。
米国債では、期待リターンよりも損切りで生じるメンタルへの影響を重視しました。
つまり、どちらも「正しいか」より「いかにストレスなく続けられるか」を優先した判断です。
FIRE生活では、資産を増やすことも大事です。
でも、期待値だけを追い続けて、不安やストレスを感じるようでは意味がありません。
今回の判断は、理論的には満点ではないかもしれません。
それでも、自分の中ではかなり納得感があります。
無職FIRE生活では、こういう後悔を減らす判断も、資産運用の一部なのだと感じました。
今は、以前より穏やかに市場を眺めることが出来ています。
